2026.05 更新
寄稿コラム:現代っ子と居合道
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武道とは全く縁のない人生から居合に出会い早10年。医療従事者として多くの人の生死に関わってきた著者が実体のない仮想の敵を相手にする居合道を通じて何を得たのか。今回は伯龍館 師範代 藤井美保 様に「私にとっての居合道」をお伺いしました。
現代っ子と居合道
1.居合道との出会い
私が、居合道を知ったのは、30歳になった頃でした。
ひとりっ子で何でも思い通りになってきた学生時代を過ごし、大人になってからはどこにでもいるような社会人になりました。
私は21歳で医療従事者となり、病院や老人施設に勤めてきました。いろんな人の人生を見つめ、その中には元気になって卒業していく方もいれば、助からない方もいました。
医療従事者は、どうして助からないんだろうと思うと、次の患者さんに進めなくなります。
私は心身がそんなに強い方ではなかったので、クヨクヨ悩むことなんてしょっちゅうでした。いわゆる、打たれ弱いタイプなのでしょう。毎日をなんとなく過ごし、とくに目標もなく、やりたいこともないといった日々でした。
私は特に武道に詳しいわけでもなかったし、興味があるわけでもありませんでした。けれど、同じような生活を続けていてこれでは駄目だ。強くなろう。強くなるなら武道だ。そんな凄く単純な理由から、インターネットで「武道 大阪」と検索しました。剣道、柔道、合気道、少林寺拳法…いろんな武道があるんだなぁと初めて知りました。
けれど、ふと考えました。投げ飛ばされたり斬られたりして自分が怪我をしたら、自分はともかく担当している患者さんに迷惑がかかるかもしれない。武道を習うことを諦めようとした時、居合道というキーワードを見つけました。仮想敵、いわゆる相手のいない武道があるということで興味を持ち「居合道 大阪」に検索を変え、通える距離の道場を探してみることにしました。
居合道ってなんだろう。日本刀なんて、ドラマや映画でしか見た事がありません。一体どうやって稽古をするのだろうと思いました。
「ちょっと道場に見学行ってくるわ。」と両親に伝えると、両親はびっくり。母親は「あなたは女の子でしょ!習うなら、お茶かお花にしなさい。」と言われましたが、父親は「長い人生の中で、歳をとっても続けられる趣味は良いもんだ。それに武道は心身が強くなる。お前にはちょうど良い。」と背中を押してくれました。
30代で新しいことを始めるには、なかなか勇気が要ります。見学に行ったら、年上の男性だらけの道場でした。その中で、今の師匠である無双直伝英信流の清水 伯龍先生に出会いました。
2.現代っ子と居合道
父親くらいの年齢の男性で、とても緊張したことを覚えています。居合刀といって、切れない刀を触らせていただきました。畑仕事のように刀を振る私に、まだ入門していないにも関わらず本当に丁寧に教えてくださいました。
その時に聞いて1番面白かったのが、刀を横から見るとどれくらいの長さか相手にバレてしまう。相手に長さが知られると、間合いがわかってしまう。だから、刀というのは相手に向かって抜いていくのだという内容でした。
日本刀の世界を全く知らなかった私でも、その日の見学は引き込まれるような経験でした。
居合道って面白いなと思いました。
どこにでもいるような女の子が、日本刀を使って武道をする。なんて非日常生活なのだろうと気分が上がり、すぐに入門することにしました。それから毎週定期的に稽古に行くようになりました。
習い始めの頃は、居合刀を肩に背負って電車に乗っている自分が格好良いと思いました。なんだか強くなった気持ちになりました。
稽古では、いかに姿勢を保ち正中線を守れるか、その中での力強い抜きつけや斬り下ろし、目付け、仮想敵が本当に見えているか、血振りの角度、そして残心の大切さを教えていただきました。
最初は無知で絶望的な運動センスでしたがご指導頂いた結果、様々な大会で優勝するまでに成長しました。

藤井美保 氏による指導の様子

(左)清水伯龍先生(右)著者の藤井美保 氏
※本記事は、発行元の許可を得て掲載しております。また記事の内容は、寄稿頂きました 藤井美保 様の意見であり、居合道 道場案内所としての意見ではございません。
